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自分の地図をつくろう

新しい場所に出かけて楽しい経験をしよう

合コンの話題には絶対ならない映画のはなし①

映画 たのしい生活

どこか著しくズレたところがあるのか、それともなにか了見違いをしているためなのか、映画『ゴッド・ファーザー』を早送りで見た、というような人間であることは以前書いたとおりなのですが、そんな私はとある月刊誌で映画紹介のページを担当していて、2001年〜2008年ごろまでは、毎月5〜10作品ぐらい試写場で見ていたと思います。

そんなわけなので、私はシネフィルではないです。私が15歳まで暮らしていた埼玉の三郷には映画館はなく、おそらく生まれて初めて映画館で見た映画はセンター試験の帰りで、しかも『デッドマン』っていう映画で、小難しくてよくわからなかった。2014年に『県警対組織暴力』に出会うまで、私は映画見るの苦手だなってずっと思ってたので。

 

映画の紹介ページを担当していた期間は、人生で一番映画を見たしそれまでの人生の10倍ぐらいの作品数を見たと思うのですが、残念なことに当時どんな映画を見たのかほとんど何も覚えてないのです。あとハリウッド超大作みたいなのもなぜか見てない気がします(何が面白いのか、見方がよくわかってなかったという……いまから考えると信じられないんですが、そうでした。これまでずーっと、ノンフィクションとかドキュメンタリーばっかりを浴びてきたので、都合のいいフィクショナルな展開がちょっと受け入れられなかったのかもしれない)。

 

で、記憶に残っている『これ面白かったな〜』って言う映画は、後から話しても、ほとんど誰も周りで見ていない、みたいな映画ばっかりなんですけど、思い出したのが何本かあるので、紹介したいと思います。

これを見ても、多分合コンとかでは話題のネタになったりはしないと思うので、飲み会とかで盛り上がりたいときは、まず『シン・ゴジラ』とか『君の名は。』を素直に見ることをおすすめします。

 

イブラヒムおじさんとコーランの花たち(2004年フランス)

パリの貧民街に住む13歳の男の子の話ですね。ユダヤ系で、名前はモモ。

お母さんがいなくて、お父さんと一緒に暮らしていたんだけど、そのお父さんがひどくて、いつも幼いころに死んじゃった兄さんとモモを比べては「兄さんはあんなに優秀だったのに。お前はダメだ……」みたいなことをモモに言いまくるっていう、ほんとに家に帰ってくるとマジ憂鬱になるぐらい陰鬱なお父さんです。

 

で、お父さんの夕飯を毎日作っているモモが近所のトルコ系雑貨屋で食材を毎日万引きしまくるわけなんだけど、そこの店主のイブラヒムというおじさんがいるんです。そのイブラヒムおじさんが「おまえさあ、万引きするなら、よそでやるなよ。うちだけにしな」みたいなことを言うんですよ。そんなことがきかけで、餌付けをされた野良猫みたいに恐る恐るイブラヒムおじさんに心をひらいていくモモ。

お父さんに兄さんばっかりほめられて辛いっていうと、イブラヒムおじさんは「モモ、お前のほうが100倍かわいいよ」ってイブラヒムおじさんがいってくれるんです。「笑ってごらん、幸せになれるから」。

 

そんなモモにとって救いの存在であるイブラヒムおじさんなんだけど、案外やり手なところもあり。その裏町の一画にはある日映画の撮影が来るんだけど、たまたま大女優のだれだったかな、カトリーヌ・ドヌーヴみたいなそういうクラスの女優が、イブラヒムおじさんの雑貨屋さんに買い物に来るんです。そうすると、イブラヒムおじさんは、かなりなジェントルマンな口調で大女優をほめそやし、でもちゃっかり定価の10倍ぐらいでガムだったかそんなものを売りつけるって言うシーンがあって。おっさんやるなぁって思った。

そしてある日、モモのお父さんは自殺をほのめかして失踪してしまい、モモはついに天涯孤独になるんだけど。

 

それで、結局、イブラヒムおじさんはモモを誘っての故郷のトルコまで、赤いオープンカーに乗って一緒に旅をするんです。旅の途中いろんなことがあって、旅の終わりには悲劇があるんだけど、モモはそれをのりこえるわけ。まあ、かんたんに言うと、男の子の成長譚なんだけど。

ニュー・シネマ・パラダイス』ってあるじゃないですか。主人公が有名映画監督になったあとに、故郷にロケをしに帰ったら、すごく自分をかわいがってくれたおじいさんが、とあるものを遺してくれていた、っていうそういう話。

で、この映画と多少作りは似てるのね。心がぶっ壊れそうな少年時代の自分を、赤の他人のおっさんがなんの見返りもなく救ってくれるっていう。

でも、この映画に出てくるモモは、『ニュー・シネマ・パラダイス』の主人公みたいに、その後、功成り名遂げて、なにか有名になったりお金持ちになったりするわけじゃないの。ただの市井のひととして、かつてのイブラヒムおじさんみたいなおっさんに、自分もなる、それだけなんだけど。

でもどんな人にも人生のハイライトってあって、それを起点に、自分の人生が再び始まったり、二度と立ち上がれないほどの打撃を受けて死んだように生きているような「余生」が始まったりするじゃないですか。

映画監督になって有名にならないと、掘り起こせないないようなそんな「過去のいい話」っていうよりは、いつの日でも誰でも取り出せる「普通の人でしかない僕が、それでも救われた話」って、なんかいいなって。

派手な「後日譚」がないところが、とっても洒脱で好きだなって思いました。

 

youtu.be

 

うおお、予告編見ただけで泣ける。

 

「普通」の線からもはみ出して、落っこちそうなぐらいの危機があって、それを誰かに救われたこと。皆さんにも、そういう経験あるんじゃないかなって思います。

 

そういえば私にもそんな事があったなあ。

高校2年生の時なんですけどね。その頃はなんか、もう大変でした。反抗期をこじらしたんでしょうかね。家にいると発狂しそうになるので、学校の近くにあるクエーカーの教会の宿泊施設で生活していたんです。管理人はイギリス人のデボラ・ライトさんという人でした。クエーカーとして奉仕の仕事をずっとやってて、南アフリカとかにも住んだことがあるんだって。その人に「映里は優しい子だよ」「映里は才能があるよ」ってずっと言ってもらって、ほんとに、私はデヴィさんが大好きでした。

ところが、多分デヴィさんが、娘さんに会うために英国に一時的に帰国するとかそういう理由だったと思うんですが、なんかのきっかけで私は一旦、当時埼玉県大宮市にあった自宅に戻ることになり、戻ったその日にやはり私は理由は思い出せないけど発狂しまして。気がつくと暴れてる私を姉と母が取り押さえているというような状態で。「おねえちゃん、ナイロン紐取って」と言う母の声が聞こえました。ああ、拘束されるんだなって思ったんですけどふとした隙に振り払って、近くにいつもおいていた重たいかばん(日記とか入ってる)で母親の後頭部を殴って昏倒させ、それからベランダから飛び降りてそのまま家出しました。

家出した先が、大田区の、矢口渡駅にそばにある、築地市場の冷蔵設備の保守とかをやってる会社の社長さんの家だったんですが。Mさん。当時40代後半なのかな。よくわからなかったですが。そこのおうちに1週間ぐらいお世話になりましたね。なんか、高校にも出入りしている人だったんです、そのMさんてひとが。私は当時から、結構知らない人とすぐ仲良くなる性質だったので、Mさんとも割と仲の良い関係でした。

Mさんの奥さんが毎朝登校前にお弁当を作ってくれたり。当時日本米が不作でタイ米を輸入した事があったんですけど、そんな中でも美味しいインディカ米を探してきてお弁当箱に詰めてくれました。

あのまま実家にいたら、私はどうなっていたのかわからないので、ほんと、ありがたいなって思いました。

まあ結果的にこのおじさんには夜中に大宮の田んぼの中(真っ暗)に連れて行かれ、性的な嫌がらせをされて、こういういい思い出は台無しになるわけですが。現実ってうまくいかないよね。

5作品ぐらいおすすめしようかと思ったんですけど、字数がまた多いので何度かに分けます。

 

実は飽きて続かないんじゃないかっておもったけど、おすすめ二本目をかいたので、貼っときます。 

okaimhome.hatenablog.com