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自分の地図をつくろう

新しい場所に出かけて楽しい経験をしよう

自己啓発書としてしみけんさんの本を読んだ。

 私は自己啓発書をこの一年でかなり読んでますが、しみけんさんのこの本、エロ業界のあるあるや、トリビアネタ、そして「しみけん立志伝」とでもいうような痛快な自伝も含まれている盛りだくさんの本です。中でも読みごたえがあったのは様々なところに垣間見えるしみけんさんの「お仕事観」なのですが、自己啓発書として、すごくいい本でした。

光り輝くクズでありたい (扶桑社BOOKS)

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「でも、どうせエロ業界の話でしょ? テキトーっぽい業界じゃん」って話半分に聞いてしまう人もいるかもしれませんが、エロの仕事に従事してない人もお仕事の姿勢としてすごく参考になることをたくさん書いています。

 

まず、好きなことを仕事にしているということ。

「こういうことをしたら世間体がいい」ではなく「自分がこれをしたいからこれで食えるようになる」っていう気持ちでいるということです。

 

つぎに、つねにポジティブである点。

しみけんさんは「女優さんが、きれいでも、ブスでも、ケツが汚くても、ババアでも、チンコがついていても、いつも同じように勃起するには、その女優さんののいいところを見つけ、この状況に興奮できるように自分をもっていかなければならない」 と書いています。どんな状況でも楽しむということを誰にも教わらずできていることがすごいなと思います。

 

みっつめ、基本的なことを抑えている。

「どうせ与太者しかいないエロ業界だし」とか、エロに関わる本人があらかじめ腐っている人も多そうなエロ業界ですが(偏見だったらすみません)、しみけんさんは、まず現場に言ったら明るく挨拶をするとか、ほかの人が忙しそうに立ち回っているときに自分は休憩していても寝ないようにしている、とか、そういう社会人としてのふるまいを抑えることが大事だと説いています。

 

よっつめ。エラーをチャンスにつなげている点。あえて「鈍」であるという点。

しみけんさんは、高校時代、ナンパが趣味だったそうなのですが、ナンパの歩留まりを上げていくにはどうしたらいいか、ちょっとずつエラーを修正していき、歩留まりを上げて行っていった話が紹介されています。いちいちくよくよしない、っていうのも大事です、と。

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  これを読んだとき、ああ、私も、かつてやってた事件取材でもこういう自分なりのエラーを蓄積していっていたなあと。すごくひざを打ちました。

 私の場合は、いきなり本丸に行きました。からめ手から、「当事者の友人」とかに話を聞きに行き、本人までつながっていくのではなく、最寄の駅に着いたらまず、まっすぐ事件の当事者のその人の家に行きます。

 人づてに紹介してもらうとかではなく、とにかく本人と直接会うようにしていました。自分の名前を聞かれる前に会うのが大事だと思ってました。「岡って記者が取材してるらしいよ」っていう情報が耳に入って、ヘンに想像が膨らんでしまう前に本人に会う。そのうえで、取材の趣旨はもちろん簡潔に伝えますが、最後「いや、実は、この事件のニュースをみて、なんか他人ごとだと思えなくて」っていう言葉を私は事件の当事者の人に言ってました。

 別にそれは嘘でもでまかせでもなく、どの事件にも他人ごとではない部分が探せば必ずあるからです。その、自分にとって他人事でない部分とはどんなところなのか、その事件の当事者の人に「自分事」としてプレゼンしてました。そうするとたいていの人は話を聞いてくれましたし、たいていの人はコメント以上の話をしてくれました。これはだれから教わったことでもないですが、なんの用事でここに来るのか、っていうことを、自分が取材される側で考えたときに、「仕事なので(ほんとはあんま興味ないです、来週は別の現場に行きます)」っていうのでは弱いなって思ったからそうしてみたらうまく行ったということがあります。

  販売の仕事をしていた時も結構いい成績だったのですが、その時も自分なりにエラーを成功につなげていった経験があります。仕事を始めた頃は4万9千円のエプソンのインクジェットプリンタ「カラリオ」を一台売るのだけでも二週間くらいかかりましたが、コツがわかってから加速がついて、富士通のFMV39万8000円を一日で総額500万円売るようになり、そのあとまだ誰も一台も売ったことがなかったという、エプソンのCAD用レーザープリンタ100万円をビックカメラ池袋新本店で初めて売ることができるようになったり、それでついに最後は、東芝のワープロ「ルポ」を売ってました。当時ワープロはパソコンに押されてもう死に体だったのですが、それでも一日2台ぐらい売ってました。楽しかったです。もう、20年前なのか。

 ちなみに売るコツは簡単で「この製品が、世界で一番好きだ」って思えるまで、製品の知識を身に付けることです。FMVよりマックでしょ、とかは客が言えばいいセリフで、FMVの最高さを見つけることが仕事だと思ってました。それで、やっぱこれ、最高だわ、って思えるようになったら、ヘンに謙遜せずに遠慮しないことです。

 しみけんさんのこの記述を読んだときは、ああ、しみけんさんってホントにナンパを楽しんでたんだな、と自分の楽しさまでよみがえってきました。

 

 天職につきたい。

 そう願っている人にどういうアドヴァイスするか……。割と社会人年数が長くなってきた私は、たまにそんなことを聞かれますし、どう答えていいものか考えたりもします。

 自分が天職についているかどうかのひとつの目安として。

「休日を待ち遠しいと思うような仕事をしているのは、天職についているとは言えない。休みなんかいらないから仕事をしていたい、と思えるような仕事が、あなたにとって天職だ」。

 それは一理あるなあと思います。

 私は、大学を卒業して記者の仕事を始めてからというもの、事件の取材とか、いわゆる東京のヤリマンの女性がどういう生活を送っているかというけっこう突っ込んだセックス事情の取材をやっていたのですが、30歳を超えるぐらいまでは休みを取った記憶がありません。正月は元旦から、電話が鳴らないし人がいないのでちょうどいいやと思って会社に行ってました。

 今はまとまった日数をちゃんと休みをとって外国で過ごすのが好きですが、以前はそういう「海外旅行」に全く魅力を感じませんでしたし、むしろ外国に遊びに行った人たちの話を聞いて「仕事がつまらないなんてかわいそうだな」って思っていたぐらいです。

 ただ、私、今はもう事件取材の仕事をしてないし、今後ももうやるつもりもないんですよね。

 私が事件取材が好きだったのは、仕事を始めた初日から、この道20年みたいなベテランの記者と肩を並べることができる、と思ったからです。

 仕事を始めたごくごく最初の3か月ぐらいですが、政治の担当をしていたことがあるんですが、そこで感じたのは、記者の人脈がモノを言う世界だということでした。つまり、人脈開拓を何年も続けることができる熱意のある人が情報を取れる世界なんだな、と思ったんです。永田町にコネなんかまったくないキラキラの年収200万円世帯の母子家庭・底辺育ちの22歳の私は、そもそも政治にあんまり興味がなかったですし、あとエリートにも全く興味がありませんでした(今もなくて、だから世間が狭いままなのかも)。でかいネタが引けるようになるまで何年もここで仕事ができるのか、って自問した時に、そりゃ興味がないしムリだなと思って、政治じゃなくて事件がやりたいですって積極的に周りに話して、事件の取材をやらせてもらうようになりました。

 今の感覚では信じられないかもしれませんが、私が新人のころは、女性記者を地方出張させるかどうかで編集長とデスクが会議をするような時代だったので、全国に出張がある事件の取材をやりたいという希望を聞いてもらえたのはラッキーとしか言いようがありません。

 とある事件でどれだけ深く当事者とかかわることができても、次の事件ではいちから掘らないと話が取れない。そういうガラガラポンな感じが事件取材で。そこに魅力を感じていましたが、続けるにつれ疲れるしだんだん体調も悪くなっていきました。

 事件をけっこうたくさん取り上げる総合月刊誌に移ってからは毎月2つくらい事件取材を掛け持ちしていたので、校了すると必ず熱を出して2日ぐらいは休んでましたし、休んでる間はずっとゲラを持って布団かぶって寝てました。

「この仕事はお金の稼げないプロ野球選手みたいなもの」っていうのを、事件取材をずっとやってる先輩に中洲の屋台で飲みながら聞いたことがあります。つまり身体が動いて仕事になるのはせいぜい45歳まで、そのあとは自分の得意分野を見つけて息長くやりなさい、ってことだと思います。

 で、私は結局10年やって、その後は少しずつ現場に出る機会を減らしていって、作家さんの担当になったりして評伝の取材とかを始めて、楽しくかつての偉人の墓とか見たり酒とか飲んだりしている頃、東日本大震災が起きました。

 なんだかんだ言ってほとんど休みを取らずに事件をやれたのって多分、自分がそういう事件の現場にいるような人たちが好きだからっていうのがあると思うんです。好きじゃないとそういう場所に居続けられないし。東日本大震災の取材でも、私が長く一緒にいる取材先の人のはやっぱり、事象をコントロールする側(東電とか政府とか、パースペクティヴを持っている人)ではなく、なんか知らないけど目の前の現象が起こっているのを、わけもわからず右往左往しながら生きている人たちだなって。それはつまり私がそういう人間だからなんだと思います。

 で、東日本大震災のあと、記者の仕事そのものをやめていますけど、はじめは「続かなかった」っていうことにすごく恥を感じていたこともありました。つまり天職じゃないことに時間を費やしたかもしれないっていうことです。

 でも、今考えているのは、天職って何個もあっていいんじゃないかなって。で、今、自分はそれを探しているところです。

 ちなみに、45歳引退説を言っていた先輩は、56歳になってますがまだ精力的に本を出しています。読んでいると文章がヨレてたり、性悪説に立ちすぎてバイアスのかかった記述が目立つようになったり、いろいろ思うところはあるけど、それでも「続けている」というだけでリスペクトしています。ああいう現場にまだ行ってるのか、というだけで私はほんとにすごいとしか言えない。それに、私がある時期にまじめにお手本にしていた先輩なので。

 

 で、結局何が天職になりうるかっていったらやっぱり好きなことをすることですよね。苦しんではいけない。

 私が好きな斎藤一人さんは「仕事っていうのは苦手分野を克服するものではないんだよ。自分が得意なところを伸ばして、それで人を助けることなんだよ」と言っています。また、「はたから見たら苦しそうって思うことってあるでしょう? たとえば甲子園に出る高校球児とか。休みなく練習して、くるしそうだなって。でもあれ、本人たちは楽しくて楽しくて、好きでやってるんだよ。先生にぶっ叩かれたり、頭坊主にしたり、そんなのはどうでもいいの。楽しいから続くんだよ」とも。

 

 やっぱ仕事って人生で一番楽しいものだと思うんですよ。てか、仕事が楽しくなかったら最悪じゃん。

 楽しいことを仕事にしたい。そう決意したなら、自分にとって楽しいものって何だろう? っていうのを自分で感じるセンスが必要になってきます。

 それは一般的に「立派なご趣味ですね」と言われるようなコモンセンスから外れるものだったりすることもあると思うんです。

 たとえばセックスが大好きだ、とか。

 そういうところに気が付いた人から人生って開けていくんだろうなって、しみけんさんのこの本を読んで思いました。

 私の場合は今は、本読むの好きだし、退行催眠をかけるのも好きだし、旅先で知らない人に話を聞くのも好きです。それがどう商売にできるか、商売にしなくてもいいのかも。それはわからないですけど、そのうちなんか、モノになるんじゃないかなって思ってます。

それに、自分にはこういうことをしたいとかの夢がないとき私はいつも、夢を持っている人を応援していたし、これからもそうしていくだろうからです。

 

 しみけんさんのこの本を読んだのは、この数日騒ぎになっている元芸能人の女性のAVデビュー作品について、いろいろ思うところがあったからです。

「芸能人がAV落ちした」という情報だけでまず彼女は磔にかけられたような騒ぎになりましたがそれだけではなく、実際デビュー作の内容がつまびらかになった際にあの悪意のある演出には驚きました。リスカ痕や肌のブツブツを、本来ならコンシーラー等で消すことはできるのにあえてそうしない。そして心無い世間は彼女の身体を無邪気に酷評するわけです。その声は彼女の耳に届いているでしょう。心が不安定な彼女に、制作側は何をしたいのか? スターにしたいのか? 私はそうは思いませんでした。なんというかそれは、「磔にされた女性にまた石を投げる」みたいな、、、、彼女は地獄に落ちたつもりが、その地獄の底も割れていたみたいな展開にはぞっとしてしまいました。そして、ここには彼女の「楽しみ」はないことを感じました。仕事を楽しみきっているプロフェッショナルの「しみけん」さんとのコントラストは残酷なほどでした。

 しみけんさんは著書で「自分自身が女優さんにとってよいジンクスになる」ということを仕事の上での信条として語っています。それは、デビューで自分と絡んだら売れる、とか、長続きするとか、そういう存在になりたいというものです。できれば彼女もそうなってほしい、それには楽しさを見つけてほしいな、せめて。と思いました。

 

 

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