自分を好きになろう

人生で味わったうれしさも悔しさもフル活用して、新しいことにチャレンジしよう

はてなのお題機能を使ってみた。

今週のお題「プレゼントしたい本」

 

はてなのお題機能がこれでした。

 

本をプレゼントするってことは、これまであんまりしたことがないんですが、本をもらうことは子どものころからけっこうありました。

「こういう人になってほしい」「こういう本が良いと思うような趣味の人になってほしい」っていう願望含みで人は誰かに本をあげるのかしら。

それとも「この本をサカナにして語り合いたい」っていう、あげる側の寂しさや理解されたい気持ちを、本に託すのかしら。

 

でも、結局あれですね、記憶に残ってるのは自力で探り当てた本だったりするんですよね。

今日は10代おわりの頃~20代のはじめごろにひょんなきっかけで出会って繰り返し繰り返し何度も読んだ本を5冊あげてみました。

 

 

不良日記 (幻冬舎文庫)

不良日記 (幻冬舎文庫)

 

 これはですね、就職した時に所属していた編集部で連載されていたものです。

まだ駆け出しだったころ、会社の書庫にあるバックナンバーを片っ端から潰していきました。一応全部読んでおこうと思って。

それで、このエッセイ連載に当たりました。

シャブ中のかつての舎弟が「百瀬を殺す」と言って家に向かったという報せを受けたとき、百瀬さんは本をよんでいた。その本を閉じて立ち上がり、百瀬さんがしたこと、それはそのかつての舎弟のアパートに向かうことだった。

ぼろアパートは雨戸が締め切ってあって、人間の男なのか獣のオスなのかわからないような動物のにおいが鼻をつく薄暗い部屋で百瀬さんは万年床をめくって、バケツの水を3杯ぶっかけて、雨戸に大書します「百瀬だ。また来る」と。
帰宅してから、さっき本の続きをまた……。

へえ、視覚的な文章が書ける不良なんだなって結構すぐ好きになりました。

それまでは、百瀬さんって人がどんな人か全く知らなかったんだけど、一読して、ああ、なんか犯罪者だったんだ、やくざだったんだ、で、刑務所に行ったんだってことが読んでるとわかる。

私は後年、いわゆるアウトローの方と結構知り合いになるっていうか、妙にうまが合う人がなんにんか出てきて、お仕事なんかも結構したり、あ、そうだそもそも『境界の町で』で書いた「彼」は元やくざです。

不思議なんですよね。不良って、男じゃなくてなんていうか女が男のコスプレしてるみたいな感じがして。不良の人って、どっかで心が女だから男らしさがわかるっていうか。女だから自分に対してしてほしい「これが男だ!」みたいなふるまいを自分が世間に向かってしているというか。寂しがりやで嫉妬深くて。そのやせ我慢の様子が面白いのと。あと全般に心が狭い人が多いんだけどそれを「筋」とか言う言葉にすり替えてまたムリ筋な話で喧嘩したりとか。

そんな大変な不良稼業の人と、私は商売違うのでなんとなく気安く付き合えると思ってくれる人もいるんでしょう。彼らの、猜疑心と不信感が異常な記憶力に昇華して、絢爛な思い出話を織り上げているような、そういう(元)不良の話を聞くのが私は結構好きです。

ここでは嘘上等で、それこそ子母澤寛がいうように「侠客の話は、語って面白く、聞いて面白ければそれでよろしいのです」って話。

こんなに書けるの、すごいなって思ってたんだけど、2作目以降はひどい出来なのでおそらく亀井龍夫編集長がかなりリライトしたのではないかと私は推測しています。それでもこれは傑作です。

稲川聖城さんがカレーを作ってくれるシーンとか最高です。海の家で。男だらけで。ほんと、ホモソーシャル

 

女二人のニューギニア (朝日文庫)

女二人のニューギニア (朝日文庫)

 

有吉佐和子は母親の影響でかなり読んでいます。自信ないけどほぼ全部読んだんじゃないかなと思います。小説では『香華』が一番好きで10回以上読んだと思います。今風にいうと毒親と娘の相克を書いた話なんですけど。でもここでは違う本を挙げます。これは、人類学者の畑中さんというお友達をニューギニアに訪ねたときの話なんだけど、やっぱり作家だから観察眼がおもしろく、畑中さんご本人が書いてる研究書(岩波から出てます)より面白い。

何が面白いって、ついた初日から、愚痴しか言ってない。疲れた、脚が痛い、飯が缶詰ばっかりで嫌だ、水が濁ってる、虫がいっぱいいる、日本では物静かな畑中さんがこっちでは怖い、日本においてきた娘が心配だ。早く帰りたい、などなど。ここまで愚痴だらけの紀行文ってなかなかなくていいなーって思いました。

 

ふるさとは貧民窟なりき (ちくま文庫)

ふるさとは貧民窟なりき (ちくま文庫)

 

小板橋さん。もう若い人は知らないと思いますが、週刊誌のトップ屋さんだった人です。原稿うまいです。板橋のスラム街で育った話を書いてます。

もともと、ルポの始まりって、エンゲルスが書いたスラム街の取材記(これは学術論文を書く上で必要な調査だったらしいです)だそうで、それが日本に輸入されて、スラム街ルポって結構一大ジャンルとしてあったそうなんです。でもだいたい、まあ、今も被災地の原稿とか読んでてもそう思うんだけど、ダークツーリズムっていうか、見世物的な書き方が多かったりして。小板橋さんのこの本は自分の思い出話を書いていますので当事者手記としてもいいなと思いました。原稿が平明でなおかつ情緒的ですごく好きです。

 

肉体の学校 (ちくま文庫)

肉体の学校 (ちくま文庫)

 

昔からコレットの「青い麦」とか、デュラスとヤンの関係とか、細木和子とホストとか、こう地位もお金もあるけど若さを喪ったことに傷つきまくっている女の人が出てくる話が大好きだったんですが、この三島由紀夫の「肉体の学校」は最高に自分の妄想をかきたててくれるお話でした。39歳の元華族の女が、池袋のゲイバーで知り合ったりゅうとした若い男、それが二十歳の千吉だった(名前ダサいな)。鋭利な目をした男はどこか貴族的な表情を見せることがあった。千吉の持つ不遜さに翻弄され、そしてそんな男がある時ふともらした暗い過去。地位も名誉もお金も教養も人脈もあるけれど世間に飽き飽きしてしまっている私が持っていないモノをすべて持っている男。すなわち、貧しさ、暗さ、人間不信、獰猛さ、そして、純真さと若さ……。こりゃ女は完全にハマりますよね。そして手ひどく裏切られる。しかし三島っていいなって思うのは女をそのまま斃れさせておかないところだと思います。ああ思い出した「女神」っていう中編も好きです。あと三島は、女性の服装の描写が最高に洒脱です。

 

楢山節考 (新潮文庫)

楢山節考 (新潮文庫)

 

これも何度も読みました。

ってところまで書いて感想書くのがめんどくさくなったので、まあ読んでください。ほんと良いから。

 

ああ、今私が読みたい本って何だろうなって考えたんだけど。

・2時間で読み切れて

・平明な文章で

・ハードな暴力シーンがなくて

・移動のある話

こういうのなんかあったら教えてください。

 

ではまた。。。